
トップ > プラダー・ウィリー症候群とは > 加齢による病像の変化と問題点
(1)乳児期
新生児期は重度の筋緊張低下、白い皮膚、小さな手足、外陰部低形成等が見られ、哺乳力は弱く、多くのPWS児が1〜3ヶ月間経管栄養を経験しています。
筋緊張低下、哺乳障害は医療的ケアと時間の経過により軽快していきます。しかし、首のすわりやお座り、独歩といった発達が遅いので、親は非常に心配します。これらの筋力低下に対しても成長ホルモン(GH)の効果が証明されてきています。
この時期大切なことは、親(特に母親)が病気を受けいれることができるまでの期間、その葛藤を受け止め、精神的なケアをすることが求められます。
これは医療関係者からPWSの情報が正確に伝えられ、それを理解するのを支援してもらうことと、同じPWSの子どもを持つ親との交流が有効だったと多くの親が語っています。
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(2)幼児期
2〜3歳頃になると多くが歩き出し、言葉も出るようになりますが、この頃からPWSの典型的な症状である過食が始まり、肥満の問題が出現してきます。この過食と肥満の問題は、生涯にわたって続きます。
最近は早い時期に診断を受け、PWSの情報を早めに得て、過食傾向が始まる前に、食事コントロールや運動療法などの対策を講じている家庭では、肥満のない場合もあります。
しかし、食事制限が厳しすぎると、ストレスを与え、PWS児本人を追い込むことになり、PWS児のもう一つの特徴である、感情の爆発や、隠れ食い、盗み食い等の問題行動を増悪する場合もあります。
低身長も症状の一つですが、近年、成長ホルモンが身長を伸ばし、体組成改善、筋力向上に有効であることがわかってきました。
2002年より成長ホルモン投与が、PWS児(低身長のある場合に限り)に、小児慢性特定疾患が適応になりました。
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(3)学齢期
小学校4〜5年生になると学習面の遅れが目立ち始めます。普通学級か特別支援学級かの選択や、学習方法に悩む時期です。
また、隠れ食い、盗み食い等の食行動の異常のほか、頑固、固執、おしゃべり、かんしゃくといった行動の問題が顕著になり、友達とのトラブルも多発するなど、社会との関わりが難しくなります。
PWS児の知的障害レベルは、それほど重くなく、多くは軽度から中等度だといわれています。
しかし、知能指数から推定される社会適応能力と、実際の適応能力にかなりの差があり、そのことがPWS児の理解を難しくしています。 「これだけ言葉が話せるのに、どうして行動が伴わないのか」というのが、PWS児に関わる人の実感ではないかと思います。親もそのギャップに悩みます。
その様なPWS児の特性を、就学時から親が正確に学校側に説明して、理解を得ておくことは、PWS児の障害の特性に合わせた学習方法や、行動異常に対する具体的な対応方法を、教師と親がともに学び、創造していくうえで大切と思います。また、級友やその保護者の理解と協力を得るうえでも必要ではないでしょうか。
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(4)中学以降
中学校からは特別支援学級に通う例が多くなります。
高校は特別支援学校の高等部などへ通うという例が多いのですが、中には、自力で一般高校受験を突破し卒業している子もいます。 小学校高学年で起こってきた、行動の問題が年齢とともに強くなり、行動範囲の広がりとともに、放浪癖や食べ物の盗みなども出てきて、親の悩みは深くなります。
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(5)青年期以降
飽くなき食欲は成人以後も続き、PWSの人の多くは食事のコントロールを自ら行うことは困難です。
肥満による糖尿病や、睡眠時の無呼吸等の合併症を発症することもあり、健康管理の面でもその医療費の面でも、親の負担は年齢とともに増加します。
理屈っぽい、頑固で融通が利かない、怒りっぽい、他人とうまく関われないといった、行動上の問題も継続します。職場や作業所、施設、病院等でも対応に苦慮されているのが現状です。
成人したPWSの人の中には、まれに一般企業に就職したり、福祉関係の施設・事業所で働いたりして、おだやかで落ち着いて生活している人もいます。
反面、学校を卒業して就職しても長続きせず、自宅待機の人もいます。そうなると、社会との接点も少なくなり、閉じこもりになる傾向がみられます。
このような人たちも社会に受け入れられ、地域で社会生活ができるというのが親の願いであり、竹の子の会の目的でもあります。
そのためには、本人の努力もさることながら、医療や保健、福祉、教育、行政いろいろな分野の方々、および地域社会の支援と協力が不可欠であると、私たち親の会は考えています。
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